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小児の胸痛の原因について(まとめ)

小児の胸痛は、大人と比較すると頻度は低いものの、決して珍しい症状ではありません。小児が胸痛を訴える場合、その原因は多岐にわたりますが、統計的に見ると最も多い原因が明らかになっています。

小児の胸痛の原因として最も多いのは、筋骨格系(胸壁)に由来する痛みです。これは全体の約50~80%を占めるとされています。

筋骨格系の胸痛は、肋間筋や胸部の筋肉・骨格の炎症、過度の運動、外傷などによって生じます。この種類の痛みは、特定の姿勢や動きで悪化するという特徴があります。

筋骨格性胸痛の特徴

筋骨格性胸痛には以下のような特徴があります:

  • 痛みが特定の動きや姿勢で悪化する(前屈や体をひねる動作、腕をあげる動作で痛みが増すことが多い)

  • 胸の表面に痛みがあり、押したり触ったりすると痛みが増す場合がある

  • 鋭い、刺すような感覚の痛みが特徴的

  • 原因が明確であることが多い(運動やけが、長時間の不自然な姿勢など)

 

筋骨格系の胸痛の中でも特に注目すべきは「前胸部キャッチ症候群(Precordial catch syndrome)」です。これは小児の胸痛の8~9割を占めるとも言われる非常に一般的な症候群です。

前胸部キャッチ症候群は、主に6歳から12歳の子どもに多く見られ、突然起こる左胸(左の乳首周囲に多い)の鋭い、刺されるような痛みが特徴です。痛みは数十秒から数分で治まることが多く、深呼吸で痛みが強くなるという特徴があります。

この症候群は心臓の病気ではなく、肋骨周辺の筋肉や神経が関わっていると考えられていますが、はっきりした原因は判明していません。重要なのは、悪化したり後遺症を残したりする病気ではないため、特別な治療は必要なく、年齢とともに症状は自然に消失していくという点です。

 

小児の胸痛の原因は、筋骨格系以外にも様々なものがあります:

原因 頻度
特発性(はっきりした病気がないもの) 40~60%
心因性 20~30%
筋骨格系 20~80%
呼吸器系 10~20%
心臓、外傷、消化器 約5%
 

特発性胸痛とは、明確な原因が特定できない胸痛のことを指します。また、心因性胸痛はストレスや精神的な疲労が原因で生じる胸痛です。



小児の胸痛の評価

小児が胸痛を訴える場合、心臓病を心配する親御さんは多いですが、実際には心臓病が原因である胸痛は2~5%と少ないことが分かっています。

しかし、胸痛の原因を特定するためには、詳細な問診と診察が重要です。必要に応じて以下のような検査が行われることがあります:

  • 胸部レントゲン検査

  • 心電図検査

  • 心エコー検査

これらの検査で異常が見られないことが、前胸部キャッチ症候群などの良性の胸痛の診断を支持します。


まとめ

小児の胸痛の最も多い原因は筋骨格系(胸壁)の痛みであり、全体の50~80%を占めています。その中でも前胸部キャッチ症候群は特に頻度が高く、小児の胸痛の8~9割を占めるとも言われています。心臓疾患が原因となる胸痛は比較的稀(約5%)であり、多くの場合は良性で自然に改善する経過をたどります。


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