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インフルエンザ菌とは? - 冬に流行するインフルエンザとは全くの別物    20250731

インフルエンザ菌(学名:Haemophilus influenzae)は、主に子どもの気道に感染する細菌の一種です。名前に「インフルエンザ」と付いていますが、冬に流行するインフルエンザの原因であるインフルエンザウイルスとは全く異なる病原体です。

歴史的に、インフルエンザが流行した患者からこの菌がよく見つかったため、「インフルエンザの原因菌」と誤解されてこの名前が付きましたが、後の研究でインフルエンザはウイルスが原因であることが判明しました。しかし、菌の名前はそのまま残っています。

 

主な特徴と引き起こされる病気

インフルエンザ菌は、多くの人が鼻や喉の奥に常在菌として持っています。普段は無害なことが多いですが、体の抵抗力が落ちたときなどに、さまざまな感染症を引き起こすことがあります。

特に、菌の成分(莢膜:きょうまく)によっていくつかの型に分けられ、**b型(Hib:ヒブ)**と呼ばれるタイプは、乳幼児において重篤な感染症(侵襲性感染症)を引き起こすことで知られています。

 

インフルエンザ菌が原因となる主な病気

種類 主な病気 特徴
侵襲性感染症 (主にb型/Hib) 細菌性髄膜炎 脳を覆う髄膜に菌が侵入し、発熱、頭痛、嘔吐、意識障害などを引き起こす。後遺症が残ったり、命に関わることもある重篤な病気。
  急性喉頭蓋炎(こうとうがいえん) 喉の奥にある喉頭蓋が腫れ上がり、気道を塞いで呼吸困難を引き起こす。窒息の危険がある緊急性の高い病気。
  敗血症 菌が血液中に入り込み、全身に広がって重い炎症反応を引き起こす。
その他の感染症 肺炎、気管支炎 肺や気管支で菌が増殖し、咳や痰、発熱を引き起こす。
  中耳炎、副鼻腔炎 耳や鼻の奥で感染を起こす。子どもが繰り返し罹患することが多い。

 

感染経路

感染者の咳やくしゃみなどに含まれる飛沫を吸い込むことによる飛沫感染や、菌が付いた手で口や鼻に触れることによる接触感染が主な経路です。

 

予防と治療

予防:Hib(ヒブ)ワクチン

 

重篤な感染症を引き起こすb型インフルエンザ菌(Hib)に対しては、非常に有効なHibワクチンがあります。日本では2013年から定期接種となっており、生後2ヶ月から接種が推奨されています。

このワクチンの普及により、かつては子どもたちの間で大きな脅威であったHibによる細菌性髄膜炎は劇的に減少し、現在ではほとんど見られなくなりました。

 

治療

インフルエンザ菌は細菌であるため、治療には**抗菌薬(抗生物質)**が用いられます。ただし、近年では抗菌薬が効きにくい耐性菌も増えており、適切な診断と薬剤選択が重要となります。


 

まとめ

 

  インフルエンザ菌 インフルエンザウイルス
分類 細菌 ウイルス
原因となる病気 細菌性髄膜炎、肺炎、中耳炎など インフルエンザ(季節性)
治療薬 抗菌薬(抗生物質) 抗インフルエンザウイルス薬
ワクチン Hibワクチン(細菌性髄膜炎などを予防) インフルエンザワクチン

このように、インフルエンザ菌とインフルエンザウイルスは名前が似ているだけで、全くの別物です。特に、重篤な病気を防ぐHibワクチンの重要性を理解することが大切です。


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