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熱性痙攣 20250808
熱性けいれんとは、生後6か月から5歳くらいの乳幼児が、急な発熱に伴って起こすけいれん発作のことです。日本では小児の約7〜8%にみられる比較的よくある病気です。
症状
熱性けいれんの症状は以下のようなものが挙げられます。
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38℃以上の発熱
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意識障害(呼びかけに反応しない、目の焦点が合わないなど)
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両手足を突っ張らせた後、ガクガクと震わせる
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白目をむく
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唇が紫色になる(チアノーゼ)
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嘔吐や失禁を伴うこともある
けいれんはほとんどの場合、数分以内に自然に治まります。
単純型と複雑型
熱性けいれんは、症状によって「単純型」と「複雑型」に分けられます。
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単純型熱性けいれん:
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発作時間が15分以内
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24時間以内に1回しか発作が起きない
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左右対称の全身性のけいれん
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複雑型熱性けいれん:
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発作時間が15分以上続く
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体の半分や一部がけいれんする
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一度の発熱で24時間以内に複数回発作を繰り返す
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原因
熱性けいれんの原因は、完全に解明されていませんが、以下の要因が考えられています。
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脳の未熟性: 乳幼児の脳が発達途中であり、急激な体温の変化に弱いことが関係しているとされています。
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遺伝的要因: 両親や兄弟姉妹に熱性けいれんの既往がある場合、発症する確率が高くなると言われています。
発熱の原因としては、インフルエンザ、突発性発疹、夏風邪などのウイルス感染が多いです。
家庭での対応
熱性けいれんが起きたら、以下の対応をしてください。
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落ち着く: まず保護者の方が落ち着くことが大切です。
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安全の確保: 周囲の危険物を取り除き、お子さんを安全な場所に寝かせます。
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体位: 嘔吐することがあるため、体を横向きに寝かせ、吐いたものが気管に入らないようにします。
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観察: けいれんが始まった時間、持続時間、けいれんの様子(全身か、部分か、目の動きなど)を観察します。
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口に物を入れない: 呼吸を妨げたり、口の中を傷つける危険があるため、口の中に物を入れないでください。
医療機関を受診する目安
以下のような場合は、すぐに医療機関を受診するか、救急車を呼んでください。
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けいれんが5分以上続く場合
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短時間でけいれんを繰り返す場合
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けいれんが治まった後も意識が戻らない場合
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生後6か月未満の乳児の場合
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けいれんの様子が左右対称でない場合
治療と予防
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治療: ほとんどの場合、けいれんは数分で自然に治まるため、特別な治療は必要ありません。ただし、けいれんが長時間続く場合は、けいれんを止めるための薬(ジアゼパム坐薬など)が使用されます。
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予防: けいれんを繰り返すお子さんの場合、発熱時にジアゼパム坐薬を予防的に使用することがあります。解熱剤は発熱による苦痛を和らげる目的で使用されますが、熱性けいれんを予防する効果は確認されていません。
熱性けいれんはほとんどの場合、成長とともに起こらなくなり、知能の発達や脳に後遺症を残すことは非常にまれです。