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夜驚症・夢遊病 20250814
夜驚症と夢遊病は、どちらも睡眠中に起こる異常行動で、特に子どもに多く見られます。どちらも深いノンレム睡眠中に起こり、脳の一部が覚醒して体が動いてしまう「部分的覚醒」という状態が原因と考えられています。しかし、それぞれ症状や特徴に違いがあります。
夜驚症(やきょうしょう)
症状と特徴
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激しいパニックと恐怖: 睡眠中に突然、叫び声や悲鳴をあげたり、恐怖に怯えたような表情で泣き叫んだりします。
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身体的な反応: 汗をかき、心拍数や呼吸数が速くなるなど、自律神経の緊張が見られます。
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意識の状態: ぼんやりとしていて、声をかけても反応が鈍く、落ち着かせようとしても効果がないことが多いです。
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持続時間: 症状は数分から10分程度で治まり、何事もなかったかのように再び眠りにつきます。
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記憶: 翌朝には、本人はその間の出来事をほとんど覚えていません。
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好発年齢: 3歳から12歳くらいの子どもに多く、5歳前後にピークを迎えます。
夢遊病(むゆうびょう)
症状と特徴
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歩き回るなどの行動: 眠ったままベッドから起き上がり、家の中を歩き回ったり、服を着替えたり、物を探したりといった行動をします。
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行動の危険性: ドアや窓から外に出てしまったり、車を運転したりするなど、危険な行動につながることもあります。
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意識の状態: 目は開いているものの、目がうつろで、呼びかけに反応が鈍いのが特徴です。
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恐怖感: 夜驚症のような強い恐怖やパニックは伴わないことが多いです。
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記憶: 夜驚症と同様、翌朝にはその間の出来事をほとんど覚えていません。
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好発年齢: 3歳から9歳頃の子どもに多く見られますが、まれに成人でも発症することがあります。
原因と対処法
原因
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脳の機能の未熟さ: 子どもの場合、睡眠を司る脳の機能がまだ発達途上であることが主な原因と考えられています。成長とともに自然に治ることがほとんどです。
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遺伝的要因: 家族に夜驚症や夢遊病の人がいる場合、発症しやすい傾向があります。
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心理的・身体的ストレス: ストレスや不安、興奮、睡眠不足、発熱などが引き金になることがあります。
対処法
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無理に起こさない: 発作中に無理に起こそうとすると、かえって混乱させてしまうことがあります。落ち着いて見守り、安全を確保することが重要です。
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安全な環境の整備: 夜間に歩き回る可能性があるため、危険なものを片付けたり、ドアや窓に鍵をかけたりして、怪我や事故を防ぐ環境を整えましょう。
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生活リズムの安定: 規則正しい睡眠時間を確保し、寝る前の興奮を避けることで、睡眠リズムを安定させることが大切です。
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ストレスの軽減: 日中のストレスや不安を取り除くように努めましょう。
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医療機関への相談: 症状が頻繁に起こる、重症化している、本人や家族の生活に支障が出ている場合は、小児科や精神科、睡眠専門医に相談することをおすすめします。大人の場合は、他の病気や薬の影響も考慮する必要があるため、専門医の診察を受けることが重要です。
夜驚症も夢遊病も、成長とともに自然に治ることがほとんどであるため、基本的には焦らず、安全を確保しながら見守ることが大切です。