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こどものいびき 20250815
お子さんのいびきは、大人のいびきとは異なる原因や注意すべき点があります。成長途中の体だからこそ、いびきが身体の発達に影響を与えることもあるため、軽く考えずに適切な対応をすることが大切です。
こどものいびきの原因
こどものいびきの主な原因は、大人とは異なり、肥満や飲酒によるものではありません。多くの場合、以下のものが挙げられます。
1. 扁桃腺・アデノイドの肥大
これがこどものいびきの最も一般的な原因です。扁桃腺はのどの奥にあるリンパ組織で、アデノイドは鼻の奥にあるリンパ組織です。これらは3歳から6歳頃に最も大きくなり、その後は徐々に小さくなる傾向があります。この時期に肥大していると、空気の通り道である「上気道」が狭くなり、いびきをかきやすくなります。
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扁桃肥大: のどの奥にある扁桃腺が大きくなること。
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アデノイド肥大: 鼻の奥にあるアデノイドが大きくなること。アデノイド肥大は、鼻呼吸を妨げ、口呼吸の原因にもなります。
2. アレルギー性鼻炎や風邪
アレルギー性鼻炎や風邪によって鼻の粘膜が腫れたり、鼻水が出たりすると、鼻づまりを起こし、口呼吸になります。その結果、いびきをかくことがあります。
3. 顎の骨の形状や歯並び
顎の発達が不十分であったり、歯並びが悪い(出っ歯など)場合も、気道が狭くなり、いびきの原因になることがあります。
4. 肥満
大人のいびきの原因となることが多い肥満は、こどもの場合でもいびきの一因となることがあります。
放置するとどうなる?
単なるいびきと思われがちですが、慢性的に続く場合は「睡眠時無呼吸症候群」に繋がっている可能性があります。こどもの睡眠時無呼吸症候群は、心身の成長に様々な悪影響を及ぼすため注意が必要です。
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日中の集中力・注意力の低下: ぐっすり眠れないため、日中に眠くなったり、集中力が続かなかったりすることがあります。多動やイライラの原因になることも。
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成長・発育への影響: 質の良い睡眠が取れないと、成長ホルモンの分泌が妨げられ、身体の発育に遅れが出る可能性があります。
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おねしょ(夜尿症): 睡眠の質の低下がおねしょの原因になることもあります。
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顔つきの変化: 慢性的な口呼吸により、顎の発達が悪くなったり、顔つきが変わってしまうこともあります。
対策と治療
まず、お子さんのいびきが一時的なものか、慢性的なものかをよく観察することが大切です。
家庭でできる対策
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寝る姿勢を工夫する: 仰向けで寝ると舌が喉の奥に落ち込んで気道が狭くなるため、横向きに寝かせてみましょう。
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寝室の環境を整える: 部屋の湿度を適切に保ち、乾燥を防ぐことで、喉や鼻への負担を軽減します。
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アレルゲンの除去: アレルギー性鼻炎がある場合は、寝室の掃除をこまめに行い、ハウスダストやダニなどのアレルゲンを減らしましょう。
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生活習慣の見直し: 規則正しい生活リズムを心がけ、十分な睡眠時間を確保します。肥満の場合は、適度な運動やバランスの取れた食事で体重を管理することも大切です。
医療機関での治療
家庭での対策で改善が見られない場合や、いびきがひどい場合は、医療機関を受診しましょう。受診先は耳鼻咽喉科や小児科が一般的です。
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検査: 医師はレントゲンや内視鏡などで、扁桃腺・アデノイドの大きさ、鼻の状態などを確認します。
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薬物療法: アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎が原因の場合は、抗アレルギー薬や点鼻薬などで鼻の通りを改善します。
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外科的治療: 扁桃腺やアデノイドの肥大が原因で、いびきや睡眠時無呼吸症候群の症状が重い場合は、手術が検討されることがあります。全身麻酔で行われるため、専門の医療機関に紹介されることが多いです。
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歯科矯正: 顎の骨の発達や歯並びが原因の場合は、歯科医院での矯正治療が有効な場合があります。
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CPAP(持続陽圧呼吸療法): 重度の睡眠時無呼吸症候群に対して、専用のマスクを装着して気道に空気を送り込み、閉塞を防ぐ治療法です。
お子さんのいびきは、単なる寝息ではなく、何らかのサインである可能性があります。気になる場合は、一度専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。受診の際には、お子さんがいびきをかいている様子を動画で撮影しておくと、医師の診断に役立つことがあります。