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マイコプラズマ 当院では最近増加傾向です 20250816
マイコプラズマ感染症は、特に小児や若年層に多くみられる呼吸器感染症です。以下に、疫学、重症化率、および普通の風邪症状で終息する確率についてまとめます。
疫学
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流行の周期と季節性: かつて日本では3〜7年周期で大きな流行を繰り返すことから「オリンピック病」とも呼ばれていましたが、現在ではその周期性は崩れ、通年で発生しています。しかし、秋から冬にかけて増加する傾向があります。
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好発年齢: 6歳から12歳の小児を中心に流行しますが、成人への感染例も少なくありません。
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感染経路: 感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染や、接触感染によって広がります。潜伏期間は2〜3週間と比較的長いのが特徴です。
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家族内感染: 学校などで感染した子どもが家庭に持ち込むことによる家族内感染も多くみられます。
重症化する割合
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肺炎の発症率: マイコプラズマに感染しても、必ずしも肺炎になるわけではありません。多くの人は上気道炎(風邪症候群)や気管支炎で済み、肺炎に至るのは感染者の3〜5%とされています。
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合併症: 肺炎を発症した場合でも、多くは軽症で済むことが多いですが、中には重症化することもあります。まれに、中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎などの合併症を併発することもあります。
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重症化の指標: 重症化の指標として、特定のサイトカイン(IL-18)やLDH(乳酸脱水素酵素)などが用いられることがあります。
普通の感冒症状で終息する割合
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自然治癒の可能性: マイコプラズマ感染症は、多くのケースで軽症で済み、安静にしていれば自然に治癒することが多いとされています。
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肺炎に至る確率: 感染者の約90%は風邪症状で済み、自然に治癒しますが、残りの5〜10%が肺炎になると報告されています。
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治療の必要性: 症状が軽い場合は必ずしも抗生物質が必要とは限りませんが、発熱が続く場合や、1週間以上痰の絡まない頑固な咳が続く場合は、マイコプラズマ感染症を疑い、適切な検査や治療を受けることが重要です。
マイコプラズマ感染症は、風邪に似た症状で始まるため、見過ごされがちですが、長引く咳や高熱が続く場合は医療機関を受診することが大切です。特に、マクロライド系の抗生物質が効きにくい耐性菌の存在も報告されているため、医師の指示に従い適切な治療を行うことが重要です。