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急性中耳炎と滲出性中耳炎はどう違うの? 20250821
小児の急性中耳炎と滲出性中耳炎は、どちらも中耳に炎症が起こる病気ですが、その症状、原因、治療法に大きな違いがあります。
症状の違い
急性中耳炎は、中耳に細菌やウイルスが感染して急性の炎症が起きる病気です。
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耳の痛み:強い痛みを伴うことが多く、夜間に急に泣き出す、不機嫌になるなどの症状がみられます。
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発熱:38℃以上の高熱が出ることがあります。
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耳だれ:鼓膜が破れると、膿のような液体(耳だれ)が出てくることがあります。
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難聴:一時的に聞こえが悪くなります。
一方、滲出性中耳炎は、中耳に液体(滲出液)がたまる病気で、急性中耳炎のような強い症状はほとんどありません。
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難聴:耳が詰まった感じ(耳閉感)や、聞こえづらさが主な症状です。
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耳の痛みや発熱はない:痛みや熱がないため、親が気づきにくいことが多いです。
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その他の症状:テレビの音を大きくする、呼びかけても返事をしない、大きな声で話す、などをきっかけに気づくことがあります。
原因と病態の違い
急性中耳炎の主な原因は、風邪などの上気道炎です。鼻の奥にある細菌やウイルスが、耳管(中耳と鼻の奥をつなぐ管)を通って中耳に侵入し、炎症を引き起こします。
滲出性中耳炎は、耳管の働きがうまくいかず、中耳の換気が損なわれることで、中耳に滲出液がたまることが主な原因です。急性中耳炎が完治しきらずに滲出性中耳炎に移行することもあります。
治療法の違い
急性中耳炎の治療では、細菌感染を抑えるために抗生物質が使用されることが一般的です。また、痛みが強い場合や膿が多くたまっている場合は、鼓膜切開を行い、膿を排出させることもあります。
滲出性中耳炎の治療は、まず内服薬(粘液調整剤など)や鼻の治療などで経過を観察します。難聴が改善しない場合や、繰り返す場合は、急性中耳炎と同様に鼓膜切開をして、たまった滲出液を取り除くことがあります。さらに、鼓膜切開を繰り返しても改善しない場合は、鼓膜に換気チューブを留置する手術を行うこともあります。これは、中耳の換気を維持し、滲出液がたまらないようにするためのものです。