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ナッツアレルギー 20250828
近年、ナッツアレルギーが急速に増えています。
小児のナッツアレルギーが増加している主な原因は、食生活の変化によりナッツ類が食品に広く使われるようになったことと、乳児期からのナッツの摂取を避ける傾向があったことだといわれています。
ナッツアレルギーの治療法としては、経口免疫療法が注目されています。
ナッツアレルギー増加の原因
近年、日本の小児におけるナッツアレルギー、特にクルミアレルギーが増加傾向にあります。これは以下の要因が影響していると考えられます。
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食生活の変化: ナッツ類(クルミ、カシューナッツ、アーモンドなど)が、パン、お菓子、料理などに広く使われるようになったため、子供たちが口にする機会が増えました。
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早期の摂取回避: 以前はアレルギー予防のため、アレルゲンとなりうる食品(卵、牛乳、小麦、ナッツ類など)を離乳食の時期に避けることが推奨されていました。しかし、この回避が逆にアレルギー発症のリスクを高める可能性が指摘されています。
ナッツアレルギーの最新治療と克服方法
ナッツアレルギーの治療の主流は、原因となるナッツを完全に避けること(アレルゲン除去)ですが、近年ではアレルギー体質を根本的に改善する治療法が研究・導入されています。
経口免疫療法 (OIT)
経口免疫療法は、アレルゲンとなる食品を少量ずつ摂取し、徐々に量を増やしていくことで、体をアレルゲンに慣れさせる治療法です。この治療は、アレルギー専門医の指導のもと、アナフィラキシーショックなどの重篤なアレルギー反応に備えながら慎重に進められます。すべての患者に効果があるわけではなく、長期間にわたる治療が必要となる場合もあります。
新しい治療薬
近年では、食物アレルギーの治療薬としてオマリズマブ(商品名:ゾレア)が注目されています。これは、アレルギー反応を引き起こすIgE抗体の働きを抑えることで、アレルゲンに対する体の耐性を高める効果が期待されており、ピーナッツアレルギーなどにも有効性が示されています。
予防へのシフト
最新の研究では、アレルギー予防のために、乳児期からナッツ類を含むアレルゲン食品を少量ずつ摂取することが推奨されています。特に、ピーナッツやナッツ類を粉末やペースト状にして離乳食に混ぜることで、安全にアレルゲンに慣れさせ、アレルギー発症を予防できる可能性が示唆されています。ただし、これは既にアレルギーが疑われる場合や、医師の指導なしで行うことは危険です。
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