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薬がないってどうゆうことよ(怒) 20250829
ここ数年の「薬が手に入らない」問題について深堀して考察してみました。
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日本の医薬品不足問題は、単一の原因ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発生している構造的な課題です。主な根本原因として、以下の点が挙げられます。
1. 品質不正問題と生産停止
2020年以降、複数のジェネリック医薬品メーカーで製造工程における不正や法令違反が発覚しました。これを受けて、行政処分による業務停止や出荷停止が相次ぎ、国内の医薬品供給網に大きな影響を与えました。不正が発覚したメーカーだけでなく、他のメーカーも品質管理基準の再点検を余儀なくされ、結果として多くの品目で生産が滞り、供給不足が加速しました。
2. 薬価引き下げ政策
日本では、医療費削減を目的として、政府が定期的に医薬品の公定価格(薬価)を引き下げる政策を続けています。特にジェネリック医薬品は、市場の競争原理によって価格がさらに下落する傾向にあります。
これにより、製薬企業の収益性が悪化し、特に利益率の低い古い医薬品やジェネリック医薬品の生産を継続するインセンティブが薄れてしまいました。採算の取れない製品の生産が縮小されたり、撤退したりするケースが増え、供給不安定の一因となっています。
3. サプライチェーンの脆弱性
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原材料の海外依存: 医薬品の製造に必要な有効成分(原薬)や原材料の多くを、中国やインドなどの特定の国に依存しています。そのため、パンデミックによるロックダウンや、地政学的なリスク、自然災害、環境規制など、海外での予期せぬ事態が発生すると、原材料の調達が困難になり、国内の生産に直接的な影響を及ぼします。
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非効率な流通構造: 製薬会社から卸売業者、医療機関・薬局へと続く複雑な流通プロセスにおいて、情報共有が不十分であるため、在庫の偏りや、特定の薬がどこにあるか分からないといった問題が起こりやすくなっています。また、多品種を少量ずつ生産する体制が、増産を困難にしています。
4. 需要の変動とミスマッチ
新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症の流行により、特定の医薬品(解熱鎮痛剤、咳止めなど)の需要が急増することがあります。しかし、上記の要因により、製薬企業の生産体制が需要の急激な増加に追いつけず、一時的な供給不足が発生します。
これらの根本的な原因が複合的に作用することで、医薬品の安定供給を脅かす状況が慢性化しており、数年にわたる問題となっています。
https://g.co/gemini/share/d2c73e3c02ce
https://docs.google.com/document/d/1-ODFRzVpyL8vexYLi6p41CgyAiiAP9VtLUV5djLjsrA/edit?tab=t.0
