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しつけ ≠ 叱る 20250830
しつけとは、子どもが社会に出て自立し、幸せに生きていくための「行動習慣」や「思考習慣」を育てることです。単に「叱ること」ではありません。
しつけの基本原則
多くの専門家や研究が共通して指摘する、しつけの基本原則は以下の3つです。
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愛情と信頼関係を築く
まず何よりも、親子の間に揺るぎない信頼関係があることが重要です。子どもは親から愛されていると感じることで、安心し、新しいことを学ぶ意欲が育ちます。厳しい言葉で叱る時も「あなたのことを大切に思っているよ」というメッセージが伝わるようにすることが大切です。
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「教える」ことと「叱る」ことを区別する
子どもは、大人が当たり前だと思う社会のルールをまだ知りません。そのため、まずは「ダメ」と頭ごなしに禁止するのではなく、理由を説明し、どうすればいいのかを具体的に教えることが大切です。危険な行為や他人に迷惑をかける行為は、その場で物理的に止めさせつつも、なぜいけないのかを伝えます。
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できたことを褒める
悪い行動を叱るだけでなく、良い行動を積極的に褒めることが重要です。「すごいね!」「えらいね!」といった言葉だけでなく、「おもちゃをきれいに片づけられたね、ありがとう」のように、具体的にどの行動が良かったのかを伝えると、子どもは自分の行動に自信を持つことができます。褒めることで、子どもは「この行動をすれば喜んでもらえる」と学び、自主的に良い行動をとるようになります。
年齢別のしつけのポイント
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0~2歳頃
この時期のしつけは、主に生活習慣を身につけさせることです。毎日決まった時間に食事や睡眠、お風呂などを繰り返すことで、自然と体のリズムが整っていきます。まだ言葉の理解が十分でないため、「ダメ!」と叱るのではなく、危険なものは子どもの手の届かない場所に置くなど、環境を整えることが効果的です。
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3~6歳頃
社会性が育ってくる時期です。「ありがとう」「ごめんなさい」といった挨拶や、他者の気持ちを理解する練習を始めます。この頃から「なぜそうするのか」を言葉で伝えることが重要になってきます。子どもの話によく耳を傾け、気持ちに共感しながら、いけないことはいけないと毅然とした態度で伝えましょう。
避けるべきしつけの方法
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体罰や暴言
体罰は、子どもに恐怖心を与えるだけで、自分で考えて行動する力を奪います。また、暴言は子どもの心を傷つけ、親子の信頼関係を壊す可能性があります。しつけと称した暴力は決して許されるものではありません。
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感情的に怒鳴る
親が感情に任せて怒鳴ると、子どもは「どうすれば怒られないか」を考えるようになり、問題の本質を理解できません。冷静になり、落ち着いて話すことで、子どもに親の思いが伝わりやすくなります。
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「言うことを聞かないと嫌いになる」といった愛情の出し入れ
「いい子にしないと愛してあげない」といった接し方は、子どもの自己肯定感を大きく損ないます。子どもは親の愛情を失うことを恐れて行動しますが、それは本質的な成長につながりません。
しつけは、親が完璧である必要はありません。子育ては試行錯誤の連続です。大切なのは、親も子も失敗を恐れずに、少しずつ一緒に成長していくことです。
