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クラっときたら起立性調節障害?     20250904

起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)は、自律神経の働きが悪くなることによって、立ち上がった時に身体や脳への血流が低下し、様々な身体症状を引き起こす病気です。思春期の子どもに多く見られ、朝起きられない、学校に行けないなどの問題につながることがあります。

 

症状

 

症状は個人差がありますが、一般的に以下のようなものがあります。

  • 朝起きられない、午前中に体調が悪い: 朝は特に症状が強く、倦怠感や疲労感がひどく、なかなか起き上がることができません。午後になると徐々に回復し、夜には元気になって眠れなくなるため、生活リズムが昼夜逆転してしまうこともあります。

  • 立ちくらみ、めまい、失神: 立ち上がった際に、脳への血流が一時的に不足するため、ふらついたり、ひどい場合は倒れてしまうことがあります。

  • 頭痛、腹痛: 慢性的な頭痛や、へその周りの痛みを訴えることがあります。

  • 倦怠感、疲れやすさ: 少し動くだけでもひどく疲れてしまい、全身の倦怠感が続きます。

  • 動悸、息切れ: 少しの運動でも心臓がドキドキしたり、息が切れることがあります。

  • 食欲不振、顔色が悪い: 食欲が湧かず、顔色が青白いといった症状が見られることもあります。

  • 乗り物酔い: 乗り物酔いしやすくなることもあります。

これらの症状は、周囲から「怠けている」「やる気がない」と誤解されがちですが、本人の気持ちの問題ではなく、自律神経の不調による「身体の病気」です。

 

原因

 

起立性調節障害の原因は完全に解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。

  • 自律神経の機能不全: 立ち上がると、重力によって血液が下半身に溜まります。通常は自律神経の働きによって血管が収縮し、心拍数が増えることで血圧が維持されますが、この調節機能がうまく働かないために、脳への血流が不足します。

  • 心理社会的ストレス: 学校や家庭でのストレスが症状を悪化させることがあります。

  • 生活習慣の乱れ: 睡眠不足や運動不足、水分・塩分摂取の不足などが、自律神経の機能をさらに乱す要因となります。

 

診断

 

診断は、問診と身体検査によって行われます。

  • 問診: 上記のような症状がどれくらい、どのような状況で現れるかを詳しく聞き取ります。

  • 新起立試験: 横になった状態と立ち上がった後の血圧や心拍数の変化を測定し、自律神経の働きを評価します。

  • その他の検査: 貧血や甲状腺疾患など、他の病気が原因ではないことを確認するために、血液検査などが行われることもあります。

 

治療

 

治療は、生活習慣の改善を中心とした非薬物療法と、必要に応じて薬物療法を組み合わせて行われます。

  1. 非薬物療法(生活習慣の改善)

    • ゆっくり起き上がる: 急に立ち上がると症状が悪化するため、ゆっくり時間をかけて、頭を低い位置から徐々に起こすようにします。

    • 水分と塩分を多めに摂取する: 循環血液量を増やすために、水分を1日1.5〜2リットル、塩分を多めに摂ることが推奨されます。塩分を積極的に摂取することでめまい・立ちくらみの頻度が著明に減少したとの研究があり、最近では10-12g/日の塩分摂取が推奨されています。

    • 適度な運動: 下半身の筋力を鍛えることで、血液が下半身に溜まるのを防ぐ効果が期待できます。ウォーキングやスクワットなどが有効です。

    • 規則正しい生活: 早寝早起きを心がけ、睡眠リズムを整えます。就寝前のスマートフォンやゲームの使用は控えることが大切です。

    • ストレスの軽減: ストレスが症状を悪化させるため、趣味やリラックスできる時間を持つことが重要です。

  2. 薬物療法

    生活指導だけでは改善が見られない場合に、血圧を上げる薬や漢方薬が処方されることがあります。

 

周囲の理解とサポート

 

起立性調節障害は、本人の怠けや気の持ちようの問題ではないことを、本人だけでなく、家族や学校関係者が理解することが最も重要です。周囲が病気として認識し、焦らず見守り、適切な対応をすることで、本人の心理的負担が軽減され、回復につながります。学校と連携し、症状に応じた対応(遅刻や欠席への配慮など)をすることも非常に大切です。

起立性調節障害は成長とともに改善していくことが多いですが、適切な治療と周囲の理解が回復を早めます。気になる症状がある場合は、小児科や心療内科など、専門の医療機関に相談することをお勧めします。


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