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クラゲ刺症 20250907
アジ釣りに勝浦方面によく行くのですが、先日、勝浦のとある海水浴場でカツオノエボシが見つかって、ちょっとした騒ぎになっていました。
今回は、クラゲ刺症についてまとめました。
クラゲ刺症(くらげししょう)は、クラゲの触手にある「刺胞」という毒針によって引き起こされる健康被害です。刺胞は、クラゲが小動物を捕食したり身を守ったりするために使うもので、触れると瞬時に毒液を注入します。
日本でも夏場を中心に被害が多く見られます。種類によっては非常に強い毒性を持つものもあり、注意が必要です。
主な症状
クラゲに刺されたときの症状は、主に以下の2つに分けられます。
1. 局所的な症状
刺された直後から現れる、患部の症状です。
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痛みと腫れ: やけどのようなヒリヒリとした痛みや、チクチクとした痛みが生じます。
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発赤・発疹: 刺された部位が赤く腫れ上がり、触手の形に沿った線状や帯状の発疹が現れることがあります。
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かゆみ: 痛みとともに、強いかゆみを伴うこともあります。
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水ぶくれやただれ: 毒性の強いクラゲに刺された場合、火傷のようにただれたり、水ぶくれができたりすることもあります。
2. 全身症状
毒が全身に回ることによって、刺された直後や数時間後に現れることがあります。重症化すると命に関わることもあるため、特に注意が必要です。
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吐き気、嘔吐
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頭痛、めまい、意識が遠のく感じ
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筋肉の痛みやけいれん
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呼吸困難
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アナフィラキシーショック: 過去にクラゲに刺された経験がある人が再び刺されると、アレルギー反応によって全身性の蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下などが起こるアナフィラキシーショックを引き起こす危険性があります。
応急処置
クラゲに刺された際の応急処置は、適切に行うことが非常に重要です。
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速やかに安全な場所へ移動する
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刺されたことに気づいたら、すぐに海から上がり、安全な浅瀬や砂浜へ移動しましょう。
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患部をこすらない
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患部に残っている刺胞を刺激し、さらに毒液を放出させてしまう可能性があるため、こすったり、砂で払ったりするのは絶対にやめましょう。
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患部を海水で洗い流す
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真水ではなく、必ず海水で洗い流してください。 真水で洗うと、浸透圧の違いで刺胞が破裂し、毒液が体内に流れ込みやすくなります。
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触手を取り除く
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皮膚に残っている触手は、素手で触らずにピンセットや手袋、クレジットカードのようなプラスチック板などでそっと取り除きましょう。無理に引き抜こうとすると、かえって刺胞が深く入り込む危険性があります。
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患部を冷やす、または温める
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一般的なクラゲ刺症では、患部を冷やすと痛みが和らぎます。
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一方で、一部のクラゲ(ハブクラゲなど)の毒は熱に弱いとされており、40〜45℃程度の温水に浸すことで痛みが和らぐという報告もあります。
注意点
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食酢はクラゲの種類によって効果が異なります。 アンドンクラゲには有効ですが、カツオノエボシなどのクラゲには逆効果で、刺胞の発射を促してしまうため、種類が分からない場合は使用を避けるべきです。
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尿をかける、アルコールをかけるといった民間療法は効果がなく、かえって症状を悪化させる可能性があるので避けましょう。
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医療機関での治療
応急処置を終えたら、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。特に以下のような場合は、すぐに病院へ行くか、救急車を呼んでください。
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痛みがひどい、広範囲に刺された
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水ぶくれやただれがひどい
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吐き気、頭痛、めまい、呼吸困難などの全身症状が出ている
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以前にもクラゲに刺されたことがある
医療機関では、症状に応じて以下のような治療が行われます。
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外用薬: 炎症を抑えるために、ステロイドや抗ヒスタミン剤の軟膏が処方されます。
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内服薬: 痛みが強い場合や全身症状がある場合は、鎮痛剤やステロイド剤、抗ヒスタミン剤などが処方されます。
予防策
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クラゲの注意報が出ている日は海に入らない。
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クラゲ避けネットの内側で遊泳する。
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肌の露出が少ない長袖のスーツやラッシュガードを着用する。
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打ち上げられているクラゲや死んでいるクラゲにも触れないようにする。
参照元:
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メディカルノート:クラゲ刺症について
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公益財団法人 日本ライフセービング協会:クラゲにさされたら
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MSDマニュアル家庭版:クラゲによる刺し傷
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臨床サポート:クラゲ刺傷
