コラム一覧
日本脳炎ワクチン 20250908
日本脳炎ワクチン接種についてまとめました。
→ココ
日本脳炎は、主にコガタアカイエカという種類の蚊を介して感染する、ウイルス性の脳の病気です。このウイルスは、ブタの体内で増殖して、それを吸血した蚊が人を刺すことで感染が広がります。
日本脳炎の発症率と症状
ウイルスに感染した人のうち、実際に日本脳炎を発症するのは、およそ100〜1000人に1人と非常に稀です。しかし、一度発症してしまうと重症化しやすく、発症者の20〜40%が亡くなり、生存者の約半数に麻痺や精神障害などの重い後遺症が残ると言われています。
具体的な症状としては、まず高熱、頭痛、吐き気、嘔吐などが現れ、その後、意識障害やけいれん、麻痺といった神経系の症状が急速に進行します。
千葉県における早期ワクチン接種の推奨
日本の多くの地域では、日本脳炎ワクチンの標準的な接種時期は3歳からとされています。しかし、千葉県では生後6か月から接種が推奨されており、その背景には以下の理由があります。
-
ブタの抗体保有率: 千葉県では、ウイルスを増幅させるブタの抗体保有率が高いことが確認されており、蚊を介した感染リスクが他の地域より高いと考えられています。
-
低年齢での発症例: 近年、千葉県を含む全国で、標準的な接種時期前の乳幼児が日本脳炎を発症した例が報告されています。生後11か月の乳児が発症した事例もあり、早期の予防が重要視されています。
こうした状況から、日本小児科学会は、リスクの高い地域に住む子どもに対して、より早い時期に免疫を獲得できるよう、生後6か月から接種を開始することを推奨しています。
早期接種のメリットとデメリット
3歳から生後6か月に推奨年齢が変わることについて、主なメリットと懸念される点を以下にまとめました。
-
メリット:
-
発症リスクが高まる前に免疫を獲得でき、重症化を防げます。
-
他の予防接種と同時期に受けられるため、通院の負担が軽減される場合があります。
-
-
デメリット:
-
副反応: 生後6か月から接種する場合でも、発熱や接種部位の腫れなど、主な副反応の種類や頻度は3歳以上の場合と差がないとされています。
-
移行抗体: 生後6か月頃は、母親から受け継いだ免疫(移行抗体)が残っていることがあり、ワクチンの効果が弱まるのではないかと懸念されることがありますが、日本脳炎ワクチンではその影響は限定的で、十分な免疫がつくことがわかっています。
-
医学的な観点から、早期接種による重大なデメリットは報告されていません。千葉県のようなリスク地域においては、早期に予防することで得られるメリットが、これらの懸念を上回ると考えられています。最終的な判断は、医師とよく相談して決めることが大切です。
詳細なレポート
