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牛乳飲むと便秘? 20250921
牛乳の主要なたんぱく質であるカゼインが便秘を引き起こすことがあります。そのメカニズムは、主に消化のしにくさと腸内環境への影響の2つが関連しています。
消化の遅延
牛乳に含まれるカゼインは、胃の中で酸と反応して固まり、カードと呼ばれる凝固物になります。このカードは消化酵素が作用する表面積が小さいため、消化に時間がかかります。これにより、カゼインが未消化のまま長時間腸内に留まり、腸の蠕動運動を妨げることがあります。その結果、便の通過が遅くなり、便から水分が過剰に吸収されて硬くなり、便秘を招くことがあります。
腸内環境の悪化
未消化のカゼインが腸に達すると、腸内の悪玉菌によって分解され、ガスや腐敗物質を発生させることがあります。これにより、腸内環境が乱れ、善玉菌が減少し、腸の動きが不安定になることがあります。また、一部の研究では、未消化のカゼインが腸壁に炎症を引き起こし、腸のバリア機能を低下させるリーキーガット症候群の原因となり、便秘や下痢などの消化器系の不調を引き起こす可能性も指摘されています。
カゼインと便秘の関連は個人差が大きく、すべての人がカゼイン摂取で便秘になるわけではありません。特に乳糖不耐症を併発している場合や、もともと腸の働きが弱い人は、カゼインによる影響を受けやすいと考えられます。