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肥満度とカウプ指数とローレル指数    20250918

小児の肥満は、国内では主に「肥満度」という指標で判断されます。これは、年齢や性別、身長に応じた標準体重に対して、実際の体重がどれくらい上回っているかを示すものです。

 

肥満度の計算方法

 

肥満度(%)は以下の式で計算されます。

肥満度(%)=標準体重(kg)実測体重(kg)−標準体重(kg)​×100

 

肥満の判定基準

 

肥満度は年齢によって基準が異なります。

  • 幼児(6歳未満)

    • 肥満度 +15%以上:肥満

    • このうち、+15%以上を「太りぎみ」、+20%以上を「やや太りすぎ」、+30%以上を「太りすぎ」とすることがあります。

  • 学童(6歳以上)

    • 肥満度 +20%以上:肥満

    • +20%~+30%:軽度肥満

    • +30%~+50%:中等度肥満

    • +50%以上:高度肥満

 

肥満症について

 

肥満度が+20%以上で、かつ体脂肪率の増加など、肥満に関連する健康障害を合併している、またはその合併が予想される場合には「肥満症」と診断されます。これは、医学的に治療が必要な状態とされます。

なお、国際的にはBMI(Body Mass Index)が用いられることもありますが、日本の小児の体格評価には肥満度が広く使われています。

この肥満度を計算するうえで「標準体重」が必要になります。
小児の標準体重は、年齢や性別だけでなく、身長に応じて算出されます。これは、同じ年齢でも成長の度合いには個人差があるため、身長を考慮したほうがより正確な評価ができるからです。

日本の小児の標準体重を求めるための代表的な方法として、以下の計算式が用いられます。これらの式は、厚生労働省の乳幼児身体発育調査や文部科学省の学校保健統計調査などの大規模なデータに基づいて作成されたものです。

 

幼児期(6歳未満)の標準体重の求め方

 

  • 男児:

    • 標準体重(kg)=0.00206×(身長(cm))2−0.1166×身長(cm)+6.5273

  • 女児:

    • 標準体重(kg)=0.00249×(身長(cm))2−0.1858×身長(cm)+9.0360

※これらの式は、身長が70cmから120cm未満の範囲に適用されます。

 

学童期(6歳以上)の標準体重の求め方

 

学童期は、身長の範囲によって複数の計算式が使われます。以下はその一例です。

  • 身長が101cmから140cm未満の場合

    • 男児:

      • 標準体重(kg)=0.0000303882×(身長(cm))3+0.00571495×(身長(cm))2+0.508124×身長(cm)−9.17791

    • 女児:

      • 標準体重(kg)=0.000127719×(身長(cm))3+0.0414712×(身長(cm))2+4.8575×身長(cm)−184.492

上記の計算式はあくまで一例であり、より詳細な身長の範囲や、性別・年齢ごとの係数を用いた一次式なども存在します。

これらの計算式で求めた「標準体重」と「実測体重」を使い、「肥満度」を計算して肥満を判定します。

肥満度(%)= 標準体重(kg)実測体重(kg)−標準体重(kg)​×100

小児の健康診断や学校の身体測定などでは、このような計算式に基づいて、個々の肥満度を判定し、肥満や痩身を評価しています。


小児の肥満を評価するうえでカウプ指数、ローレル指数というものもあります。
 

カウプ指数とローレル指数は、どちらも小児の肥満を評価するための指標ですが、対象となる年齢や計算方法、そしてその考え方に違いがあります。

 

〇カウプ指数

 

  • 対象: 主に生後3ヶ月から5歳までの乳幼児の体格評価に用いられます。

  • 計算方法:

    カウプ指数=身長(m)2体重(kg)​

    または、

    カウプ指数=身長(cm)2体重(g)​×10

  • 特徴:

    • 計算式は成人の肥満指標であるBMI(Body Mass Index)と同じです。

    • ただし、乳幼児は月齢・年齢によって適切な体型が異なるため、判定基準は年齢別に定められています。

    • この指数は、身長と体重のバランスを相対的に見るもので、現在の体格が「やせぎみ」「ふつう」「ふとりぎみ」のどこに当てはまるかを判断する目安として使われます。

 

〇ローレル指数

ローレル指数は、おもに学童期(6歳以上)の小児の肥満度を測るための体格指数です。身長と体重の関係から、体格が「やせすぎ」から「太りすぎ」までのどの範囲に当てはまるかを判断します。

 

計算方法

 

ローレル指数は、以下の式で計算されます。

ローレル指数=身長(m)3体重(kg)​×10

※この式は、体重をキログラム(kg)、身長をメートル(m)で計算する場合のものです。体重をグラム(g)、身長をセンチメートル(cm)で計算する場合、式が変わります。

 

判定基準

 

ローレル指数は、以下の基準で体格を評価します。

  • 太りすぎ: 160以上

  • 太っている: 145〜160

  • 正常: 115〜145

  • やせ型: 100〜115

  • やせすぎ: 100未満

     

現在、国内では、小児の肥満判定には「肥満度」という、より個々の身長に応じた標準体重を基準とする指標が主流となっています。
しかし、カウプ指数、ローレル指数を求めてくる診断書、指示書が本当に数多く存在していて、正直なところ、誰か早く統一してくれないかなあなんて切実に思っています。


小児肥満度を計算してくれるwebサイト
公益財団法人 福岡県メディカルセンター

カウプ・ローレル指数を計算してくれるwebサイト
高精度計算サイト(keisan.casio.jp)
 


 


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