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お子さんの鼻水、どうしてる? 正しい鼻のかみ方でトラブルを防ごう 20251002
お子さんが鼻をぐずぐずさせていると、見ている親御さんもつらいですよね。「早く楽にしてあげたい」という気持ちから、つい「思いっきり鼻をかみなさい!」と言っていませんか?実はその声かけ、かえってお子さんを苦しめてしまうかもしれません。
風邪をひいたときに出る鼻水は、ウイルスや細菌と戦って、体の外に追い出そうとする大切な防御反応です。ですから、鼻をかむ目的は、風邪を「早く治す」ことではなく、鼻づまりを解消して「楽に過ごす」こと、そしてさらなるトラブルを防ぐことにあります。
やってはいけない!危険な鼻のかみ方
一番やってはいけないのは、両方の鼻をいっぺんに、力いっぱいかむことです 。なぜなら、鼻と耳は細い管(耳管)でつながっているからです 。強く鼻をかむと、ウイルスや細菌を含んだ鼻水がその管を通って耳に送り込まれてしまい、痛みを伴う「中耳炎」の原因になってしまいます 。
お子さんは、大人に比べてこの管が短くて水平なため、特に中耳炎になりやすいので注意が必要です 。また、鼻の奥にある「副鼻腔」という空洞に鼻水が逆流して、長引く鼻づまりや頭痛の原因となる「副鼻腔炎(ちくのう症)」を引き起こすこともあります 。
同じ理由で、鼻水をズズッとすするのもよくありません 。すする力で、ばい菌を鼻の奥や耳に引き込んでしまう危険があります 。
これが正解!耳や鼻に優しい「鼻のかみ方」
では、どうすれば安全に鼻水を外に出せるのでしょうか。ポイントは「片方ずつ、優しく」です。
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まず、指で片方の小鼻をしっかり押さえて、鼻の穴をふさぎます 。
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口からゆっくり息を吸い込みます 。
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開いている方の鼻から、ゆっくり、そっと息を吐き出すように鼻水を押し出します 。大きな音が出るほど強くかんではいけません。
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終わったら、反対側も同じように繰り返します。
この方法なら、鼻の中に強い圧力がかからず、耳や副鼻腔への負担を最小限にできます。
鼻をかむのをサポートする工夫
鼻水が硬くてかみにくい時は、無理やり力を入れるのではなく、少し工夫してみましょう。
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お部屋の加湿: 加湿器を使ったり、濡れタオルを干したりして、お部屋の湿度を50~60%に保つと、鼻の粘膜が潤い、鼻水が柔らかくなります 。
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水分補給: 水やお茶をこまめに飲んで、体の中から潤すことも大切です。
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体を温める: お風呂の湯気は天然の加湿器です。湯気を吸い込むと鼻の通りが楽になり、鼻をかみやすくなります 。
小さなお子さんへのケア
まだ自分で鼻をかめない小さなお子さんの場合は、鼻水がたまったままだと中耳炎のリスクが高まります。市販の鼻吸い器を使って、こまめに優しく吸い出してあげることがとても重要です 。
お子さんに鼻のかみ方を教えるときは、ティッシュを丸めて鼻の前に置き、「フンッ!」と息で吹き飛ばす「ティッシュロケット」のような遊びを取り入れると、楽しく練習できますよ 。
風邪のときの鼻水ケアは、「力任せ」ではなく「優しさ」が鍵です。正しい鼻のかみ方を習慣にして、お子さんを中耳炎などのつらい合併症から守ってあげましょう。