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クループ症候群(Croup Syndrome) 20251007

 

クループ症候群は、主にウイルス感染によって喉頭(こうとう)や気管の粘膜が炎症を起こし、腫れることで発症する病気です。特に声帯のあたりが狭くなるため、特徴的な症状が現れます。

好発年齢は生後6ヶ月〜3歳頃で、空気が乾燥する秋から冬にかけて多く見られます。


 

主な症状

 

クループの症状は、多くの場合、夜間に突然始まったり、悪化したりする傾向があります。典型的な症状は以下の3つです。

  1. 犬が吠えるような咳、またはオットセイが鳴くような咳(犬吠様咳嗽:けんばいようがいそう)

    • 炎症で声帯周辺が腫れて狭くなっているため、咳をすると「ケンケン」「コンコン」といった特徴的な乾いた音が出ます。

  2. かすれ声(嗄声:させい)

    • 声帯に炎症が及ぶため、声がかすれます。

  3. 吸気性喘鳴(きゅうきせいぜんめい)

    • 息を吸うときに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった苦しそうな音が聞こえます。これは、空気が狭くなった気道を通る際に生じる音です。泣いたり興奮したりすると、呼吸が速くなり、この喘鳴はよりはっきりと聞こえるようになります。

これらの症状のほか、発熱、鼻水といった風邪症状を伴うことがほとんどです。


 

原因

 

ほとんどがウイルス感染によるものです。主な原因ウイルスには以下のようなものがあります。

  • パラインフルエンザウイルス(最も多い)

  • RSウイルス

  • インフルエンザウイルス

  • アデノウイルス など


 

治療法

 

治療は重症度によって異なります。

 

1. ご家庭での対処法(軽症の場合)

 

  • 加湿:加湿器などを使って、部屋の湿度を保ちます。乾燥は喉の刺激になり、咳を悪化させます。

  • 水分補給:脱水を防ぐため、湯冷ましや麦茶、経口補水液などを少しずつ頻回に与えます。

  • 安静に過ごす:泣いたり興奮したりすると、気道がさらに狭くなり呼吸が苦しくなります。お子さんを安心させ、なるべく安静に過ごさせることが大切です。

  • 涼しい空気を吸わせる:夜間の冷たく湿った空気は、喉の腫れを和らげることがあります。症状が強い場合、窓を開けて少し外の空気を吸わせたり、抱っこしてベランダに出たりする(※)と、呼吸が楽になることがあります。

    • (※)衣服を調節し、体を冷やしすぎないように注意してください。

 

2. 医療機関での治療(中等症〜重症の場合)

 

  • ステロイド薬の投与:喉の炎症と腫れを抑えるために、ステロイドの吸入、内服、または注射が行われます。効果が現れるまで数時間かかりますが、気道の腫れを和らげる最も重要な治療です。

  • アドレナリン(ボスミン)の吸入:重症で呼吸困難が強い場合、気道の血管を収縮させて急速に腫れを引かせる作用のあるアドレナリンを吸入します。効果は速いですが持続時間が短いため、投与後は院内での経過観察が必要です。

  • 酸素投与:呼吸の状態が悪い場合は、酸素投与を行います。

  • 入院:呼吸困難が強い、水分が摂れない、症状が改善しないなどの場合は、入院が必要となります。


 

すぐに医療機関を受診すべきサイン

 

以下の症状が見られる場合は、夜間や休日であっても速やかに医療機関を受診してください。

  • 安静にしていても、息を吸うたびにヒューヒューという音(喘鳴)が聞こえる

  • 呼吸が速く、苦しそう

  • 息を吸うときに、鎖骨の上や肋骨の間がへこむ(陥没呼吸)

  • 顔色や唇の色が悪い(チアノーゼ)

  • 水分がほとんど摂れない

  • ぐったりして元気がない、意識がもうろうとしている

クループはほとんどの場合、数日で自然に軽快する病気ですが、時に急速に呼吸困難が進行することがあります。お子さんの呼吸の状態をよく観察し、心配な場合はかかりつけの小児科にご相談ください。


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