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モヤモヤ病 20251030
これは指定難病の一つで、脳の血管に生じる病気です。別名「ウィリス動脈輪閉塞症」とも呼ばれます。
主な特徴は以下の通りです。
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病態: 脳へ血液を送る太い血管である内頚動脈の終末部が徐々に細くなり、最終的に詰まってしまう病気です。
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「もやもや血管」: 血流不足を補うために、脳底部などに異常に発達した細い血管の網ができます。この血管が脳血管撮影(アンギオグラフィー)で「煙が立ちのぼるようにモヤモヤ」と見えることから、この病名が付きました。
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原因: 現在のところ、はっきりとした原因は解明されていませんが、日本人を含む東アジア諸国に多く、家族内発症も見られることから、遺伝的関与も指摘されています。
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発症の年齢: 主に**小児期(5歳前後)と成人期(40歳前後)**の2つのピークがあります。
症状のタイプ
主に以下の2つのタイプがあります。
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虚血型(脳血流不足によるもの)
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小児に多く見られます。
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症状: 一時的な手足の麻痺やしびれ、言語障害(ろれつがまわらない、言葉が出にくいなど)、頭痛など。これらは一過性脳虚血発作と呼ばれ、数分から数十分で治まることが多いです。
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誘発要因: 泣く、運動、楽器演奏など、呼吸数が増加する(過換気状態になる)ことで脳の血管が収縮し、血流不足を助長することで発作が起きやすいとされています。
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重症化すると脳梗塞になり、症状が固定してしまうことがあります。
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出血型(もやもや血管の破綻によるもの)
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成人に多く見られ、成人では約半数がこのタイプです。
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症状: 激しい頭痛とともに、意識障害、手足の麻痺、言語障害など。
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脆弱なもやもや血管が破れることで脳出血を起こし、出血量が多い場合は命に関わることもあります。
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治療
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内科的治療: 症状に応じて、抗血小板薬(血をさらさらにする薬)や抗けいれん薬などが用いられます。
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外科的治療(バイパス手術): 脳の血流が低下している場合に、頭皮の血管などを使って脳に新しい血流を補う手術が行われます。これにより、虚血発作の予防や、出血のリスクを軽減する目的があります。
詳細については、専門の医療機関にご相談いただくことをお勧めします。
