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周期性嘔吐症    20251112

 

🤢 周期性嘔吐症(アセトン血性嘔吐症)

 

周期性嘔吐症(Cyclic Vomiting Syndrome: CVS)は、特に小児に多く見られる機能性疾患で、嘔吐発作を周期的に繰り返す病気です。発作がない間は全く元気なのが特徴です。日本ではアセトン血性嘔吐症自家中毒症と呼ばれることもあります。


 

🔍 原因

 

周期性嘔吐症の正確な原因は不明ですが、いくつかの要因が関わっていると考えられています。国際的には片頭痛の一種として位置づけられることが多く、家族に片頭痛の既往があるケースも少なくありません。

主な原因・誘因として指摘されているのは以下の点です。

  • 体質的要因:

    • 自律神経や情緒が不安定な神経質な子どもに多い傾向があります。

    • 片頭痛との関連(脳-腸管軸の異常など)。

    • ミトコンドリアDNAの異常など、エネルギー代謝の異常も指摘されています。

  • 誘発要因(トリガー):

    • 身体的・精神的なストレスや疲労: 遠足、発表会などの興奮を伴うイベント、風邪や感染症などの体調不良。

    • 食事の要因: 空腹による糖分不足(ブドウ糖の不足)、脂肪分の多い食事(チョコレート、チーズなど)、カフェインの過剰摂取、寝る前の食事をとらないこと。

    • 睡眠不足や過度の運動。

    • 女性では月経

ブドウ糖が不足すると、代わりに脂肪が分解されてエネルギー源として使われ、その結果ケトン体が多量に産生されます。このケトン体が増えることが嘔吐を誘発すると考えられています(アセトン血性嘔吐症)。


 

🛡️ 予防

 

発作を繰り返す場合は、誘因となる要因を避けることが最も重要です。

  • 生活リズムの改善:

    • 規則正しい生活十分な睡眠をとる。

    • 疲労やストレスを避け、心身の健康を保つ。

    • ストレス管理を心がける(不安や嫌なことを避ける、リラックス法を身につけるなど)。

  • 食事の工夫:

    • 空腹状態を避けるため、食事を抜いたり間隔を空け過ぎたりしないようにする。

    • 夕食の量が少ない場合は、就寝前にパンやおにぎりなどの炭水化物(糖分)を含む軽食をとる。

    • 疲労やストレスが予想される状況では、糖分・水分をこまめに与える。

    • チョコレート、チーズ、カフェインなどの誘発食品を控える

    • バランスの取れた食生活を心がけ、過剰な脂肪分の摂取を避ける。

  • 薬物による予防:

    • 発作が頻繁(月1回以上など)で重症な場合、医師の判断で予防薬(片頭痛治療薬、抗けいれん薬、抗うつ薬など)が処方されることがあります。小児では適応外の薬もありますが、発作の頻度や重症度に応じて検討されます。


 

💊 治療

 

治療は主に発作時の対症療法と、発作を予防するための対策に分けられます。

 

発作時の治療

 

  1. 脱水と低血糖の改善:

    • 嘔吐が続いている場合は、経口摂取を中止し、ブドウ糖の点滴を行うことが基本となります。ブドウ糖の補給により、エネルギー代謝を正常に戻し、ケトン体の増加を抑えます。

    • 軽症の場合は、糖分の多いもの(ジュース、飴など)を少量ずつなめたり飲ませたりして、脱水を防ぎながら糖分を補給します。

  2. 制吐剤の投与:

    • 吐き気を抑えるために、吐き気止めの坐薬や内服薬が使用されます。

  3. 安静:

    • 静かで暗い部屋で安静にし、眠らせると症状が改善することが多いです。

  4. アボルティブ療法:

    • 発作の始まり(予兆期)に、制吐剤や片頭痛治療薬など(スマトリプタン、オンダンセトロンなど)を服用し、発作の進行を食い止めようとする治療です。

 

予防的治療

 

  • 前述の生活習慣の改善を徹底します。

  • 発作の頻度が高い場合は、医師の指導のもと、予防薬(プロプラノロール、アミトリプチン、シプロヘプタジンなど)を毎日服用することがあります。

  • サプリメント(コエンザイムQ10、L-カルニチン、リボフラビンなど)が検討されることもあります。

周期性嘔吐症は通常、10歳頃までには自然に発症しなくなることが多いですが、成人後に片頭痛に移行することもあるため、適切な診断と治療、そして生活管理が大切です。

周期性嘔吐症について、コアラ先生の解説動画:
https://youtu.be/a_4HdFgBuE8?si=75NEYJ-A24PqmtSG

 

 

 


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