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食物アレルギー予防と離乳食開始時期 20251113
近年の研究により、離乳食の開始を遅らせても食物アレルギーの予防には効果がないことが明らかになっています。むしろ、アレルゲンとなり得る食品を適切な時期に導入することが、特定の食物アレルギー予防に有効であるという知見が集積されています。
👶 食物アレルギー予防のための離乳食開始時期と導入方法
日本の最新の「授乳・離乳の支援ガイド」などでも、食物アレルギーの有無にかかわらず、生後5〜6か月頃から離乳食を開始することが推奨されています。
1. 離乳食開始を遅らせるメリットはない
以前はアレルギー予防のために離乳食の開始を遅らせる考え方もありましたが、現在では推奨されていません。離乳食の開始時期は、赤ちゃんの発達の様子(首のすわり、食べ物に興味を示すかなど)を見て進めるのが基本です。
2. 早期に主要なアレルゲンを導入する
食物アレルギーになりやすい食品(主要アレルゲン)についても、開始を遅らせる必要はありません。特に、鶏卵やピーナッツなど、アレルギー発症リスクが高い乳児に対しては、適切な時期にこれらの食品を少量から摂取することが予防に有効であるというエビデンスがあります。
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鶏卵: 2019年のガイドライン改定により、生後5~6か月頃から、よく加熱した卵黄を少量ずつ開始することが可能とされました。
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重要なポイント: アレルゲンとなり得る食品を新しく導入する際は、体調の良い日中にごく少量から与え、アレルギー症状が出ないか観察しながら量を増やしていくことが大切です。万が一の症状に備え、すぐに医療機関を受診できる時間帯にしましょう。
🥛 乳アレルギー予防と育児用ミルクの早期開始
乳アレルギー予防に関しては、完全母乳栄養の乳児に対し、生後早期(生後1か月など)から育児用ミルク(牛乳タンパクを含む普通ミルク)を少量・定期的に摂取することで、牛乳アレルギーの発症を予防できる可能性を示す研究報告が複数見られています。
🐄 牛乳アレルギー予防に関する知見
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完全母乳の乳児への早期導入: 母乳のみで育っている赤ちゃんに、生後1か月頃から少量(例:10mL程度)でも育児用ミルクを定期的に与えることで、牛乳アレルギーの発症リスクが減少する可能性が示唆されています。
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継続性の重要性: 一度ミルクを導入した場合は、継続して摂取することが予防効果につながると考えられています。
⚠️ 注意点
このアプローチは、まだ大規模な介入研究がさらに必要とされており、全てのガイドラインで統一的な強い推奨となっているわけではありません。また、個々の赤ちゃんの状況(湿疹の有無など)によってリスクが異なります。
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必ず専門家へ相談: 特に湿疹があるなど、アレルギー発症リスクが高いお子さんの場合、離乳食や育児用ミルクの開始については、自己判断せず、小児科やアレルギー専門医に相談し、**適切なスキンケア(保湿)**と並行して進めることが最も重要です。
これらの最新の知見と推奨事項に基づき、個別の状況に合わせた具体的な離乳食の進め方について、かかりつけの小児科医と相談しながら進めることが、お子さんの食物アレルギー予防につながります。
