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副乳    20251214

**副乳(ふくにゅう)**

副乳とは、本来の左右の乳房(胸)以外の場所にできる乳腺組織のことです。決して珍しいものではなく、一般的に人口の数%(1〜5%程度)に見られると言われています。


1. なぜできるのか(発生のメカニズム)

胎児の時期、ヒトも他の哺乳類(犬や猫など)と同様に、脇の下から足の付け根にかけて**「ミルクライン(乳線)」**と呼ばれる乳腺のもとになる線が存在し、複数の乳房の芽ができます。

通常、成長過程で胸の2つ以外は退化して消えますが、これが消えずに残ってしまったものが「副乳」です。

2. どこにできるのか

ミルクライン上であればどこにでもできる可能性がありますが、最も多いのは**脇の下(腋窩)**です。次いで乳房の下や腹部、足の付け根(鼠径部)などに見られることもあります。

3. 見た目の特徴と分類

副乳は、以下の3つのパターンに大きく分けられます。

  1. 完全な副乳: 乳頭(乳首)と乳腺の両方があるもの。

  2. 副乳頭: 乳頭だけがあるもの(ほくろやイボのように見えることが多い)。

  3. 副乳腺: 乳腺組織だけがあり、皮膚の表面には変化がないもの(脇の下の腫れとして自覚されることが多い)。

4. 主な症状と気づくタイミング

普段は無症状のことが多いですが、本来の乳房と同様に女性ホルモンの影響を受けるため、以下のタイミングで変化が現れることがあります。

  • 月経前・月経中: 脇の下などが腫れぼったくなったり、痛み(圧痛)を感じたりする。月経が終わると治まるのが特徴です。

  • 妊娠・授乳期: 乳腺が発達するため、大きくなったり痛みが出たりします。稀に副乳から母乳が出ることもあります。

  • 思春期: 第二次性徴で乳房が発達する際、同時に副乳が目立ち始めることがあります。

5. 医学的な注意点と治療

基本的に副乳は良性であり、病気ではありません。そのため、特別な症状がなければ治療の必要はなく、経過観察となります。

  • 鑑別が必要なケース:

    脇の下のしこりは、副乳以外に「リンパ節の腫れ」「粉瘤(アテローム)」「脂肪腫」、稀に悪性腫瘍の可能性があります。「月経周期と連動して痛む・腫れる」という特徴が副乳であることの大きな判断材料になります。

  • 治療(手術)を検討する場合:

    • 美容的に気になる場合(脇の下の膨らみが目立つなど)。

    • 月経や授乳のたびに強い痛みがあり、生活に支障が出る場合。

    • 副乳に腫瘍(しこり)ができた場合(極めて稀ですが、副乳がんが発生するリスクもゼロではありません)。


 

副乳は進化の名残のようなもので、病的なものではありません。生理周期に合わせて脇が痛む場合などは副乳の可能性が高いですが、硬いしこりがずっとある場合などは、念のため乳腺外科などで超音波(エコー)検査を受けると安心です。

 


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