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臍ヘルニア(でべそ) 20251218
臍ヘルニアは、一般的に「でべそ」と呼ばれるもので、赤ちゃんのおへそがぽっこりと膨らむ状態を指します。
👶 臍ヘルニアの概要
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原因: 胎児期にへその緒が通っていた部分(臍輪)の腹筋が、出生後も完全に閉じきらずに穴が残っていることが主な原因です。腹圧(泣いたり、いきんだりする時)によって、腸の一部がこの穴から皮膚の下に押し出されて膨らみます。
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症状:
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おへその部分が柔らかく膨らみます。
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赤ちゃんが泣いたり、いきんだりする時に、膨らみがさらに大きくなるのが特徴です。
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押すと簡単にへこみますが、手を離すとまた膨らみます。
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ほとんどの場合、痛みはありません。
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発見時期: 生後1〜2ヶ月頃に目立ち始めることが多いです。
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頻度: 赤ちゃんの5人から10人に1人の割合で見られる、比較的一般的な現象です。
🌟 治療と予後(自然治癒)
臍ヘルニアのほとんど(約90%)は、特別な治療をしなくても、赤ちゃんの腹筋の発達に伴って1歳〜2歳頃までに自然に治ります。
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経過観察: 最も一般的な対応です。自然治癒を期待して様子を見ます。
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圧迫療法(スポンジ圧迫療法): 早期(生後1〜2ヶ月頃)から、飛び出す部分をスポンジなどで圧迫してテープで固定する治療法を行う医療機関もあります。これは、主にヘルニアの治癒を促すことと、皮膚が伸びきってしまい治癒後に形が残るのを防ぐことを目的としています。
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手術: 2歳を過ぎても自然に治らない場合や、おへその皮膚の伸び(変形)が強く美容上の問題となる場合に検討されます。
🚨 受診の目安(注意が必要な症状)
ほとんどは心配のないものですが、非常にまれに緊急の対応が必要となる状態(嵌頓(かんとん))を起こすことがあります。以下の症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
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膨らみが硬い、または赤くなっている
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押してもへこまない
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赤ちゃんが激しく痛がる
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嘔吐などの他の症状がある
臍ヘルニアは多くの赤ちゃんに見られる現象で、ほとんどが成長とともに自然に治るため、過度な心配はいりません。ただし、気になる症状があったり、治療法について相談したい場合は、小児科や小児外科を受診することをおすすめします。
