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BCG接種後の経過(正常反応、コッホ、偽コッホの違い) 20251222
1. 正常な反応(通常の経過)
BCGは、接種後すぐに反応が出るわけではなく、**「忘れた頃に反応が出る」**のが正常です。
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接種直後~数日
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状態: ハンコ注射の針の跡が赤くなりますが、1~2日ですっと消えます。
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見た目: その後、接種部位はきれいな肌色に戻り、何も変化がない状態が続きます(約10日間ほど)。
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接種後2週間~4週間頃(ポツポツ期)
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状態: 針の跡(18個の点)に一致して、赤いポツポツが現れます。
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見た目: 赤いニキビの赤ちゃんのような発疹が出てきます。
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接種後1ヶ月~1ヶ月半頃(ジクジク期・ピーク)
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状態: 反応のピークです。ポツポツした部分に白い膿(うみ)をもったり、それが潰れて少しジクジクしたり、カサブタができたりします。
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見た目: 「腕が腫れて膿んでいる」ように見え、一番痛々しい時期ですが、これは免疫がついている証拠であり正常反応です。包帯などはせず、清潔に保てば大丈夫です。
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接種後3ヶ月以降(治癒期)
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状態: カサブタが自然に取れ、赤みが引いてきます。
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見た目: 最終的に小さなクレーター状の白い跡(瘢痕)が残ります。
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2. コッホ現象(異常反応・結核既感染の疑い)
すでに赤ちゃんが結核菌に感染している場合に起こる、一種のアレルギー反応(過敏反応)です。最大の特徴は**「反応が出るのが早すぎる」**ことです。
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発現時期:
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接種後 翌日~4日頃に反応が出はじめ、7日目頃にピークを迎え強い反応が出ます。
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症状の進行:
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正常な経過(2週間後から赤くなる)を待たずに、接種したその日や翌日から、針の跡が真っ赤に腫れ上がります。
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数日以内に、針の跡が化膿したり、潰れて穴が開いたりします。
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見た目: 「接種してすぐなのに、すでに1ヶ月後のピーク時のような膿(うみ)やただれがある」状態です。
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対応:
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結核にすでに感染している可能性があるため、速やかに(気づいた時点で)受診が必要です。ツベルクリン反応検査や血液検査、レントゲン等で精査を行います。
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3. 偽コッホ現象(紛らわしい反応)
見た目や時期は「コッホ現象」にそっくりですが、結核感染ではないものを指します。
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原因:
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注射の物理的な刺激による炎症、ワクチンの溶媒に対する非特異的な反応、あるいは過去に似た菌(非結核性抗酸菌など)に触れた影響などが考えられています。
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また、単に皮膚が弱い子や、接種時の押し付けが強かった場合などに起こることもあります。
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コッホ現象との違い(見極めのポイント):
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経過: コッホ現象に比べて、赤みや腫れのピークが過ぎるのが早く、当日夜~翌日に発赤が出現し、2-3日でスッと引いていくことが多いです(コッホ現象は治らずに悪化・持続する傾向があります)。
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診断: 見た目だけで「これは偽コッホだ」と断定するのは専門医でも困難です。そのため、コッホ現象疑いとして検査を行い、「結核の感染が否定された場合」に初めて「偽コッホ現象だった」と診断されます。
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保護者の方へ
ご家庭で見守る際のシンプルな判断基準は以下の通りです。
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「10日ルール」:
接種後 10日以内 に、針の跡が膿んだり、ジクジクしたり、ひどく腫れている場合は「コッホ現象」の疑いがあります。写真を撮って、すぐに受診してください。
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「2週間後の変化」:
接種後2週間くらい経ってからポツポツ赤くなり、膿んでくるのは 正常 です。慌てなくて大丈夫です。
コッホか偽コッホか迷う場合は、必ず医療機関にご相談ください。
