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Japan Paradox ってご存じですか?    20260102

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の接種が日本で遅れている理由について(考察)

日本では、科学的な根拠(エビデンス)よりも、マスコミが扇動した「感情的な物語」が優先され、政策が歪められた結果、およそ9年間にわたってワクチンの積極的勧奨が差し控えられました。これは世界的に見ても異例の事態であり、「日本のHPVワクチン薬害騒動」は、マスコミと行政が引き起こした公衆衛生上の大きな汚点として、海外の研究論文でも「Japan Paradox(日本の逆説)」として取り上げられています。

2013年、ワクチン接種後に「広範な痛み」「不随意運動(けいれん等)」などが起きたという報告が相次ぎ、マスコミがこれをセンセーショナルに報道。厚生労働省は同年6月、定期接種自体は継続しつつも「積極的な勧奨(予診票の個別送付など)」を中止しました。
その後、名古屋市で行われた大規模調査(名古屋スタディ)や、WHO(世界保健機関)、コクラン(国際的な評価機関)などの検証により、「接種後の症状とワクチンとの間に因果関係は認められない」という結論が出ました。報告された症状はワクチンを打っていない同世代の子どもにも一定数見られること(紛れ込み)、および機能性身体症状(心身の反応)であることが明らかになりました。
2022年、科学的根拠に基づき、ようやく積極的勧奨が再開されました。

スコミはこの問題において検証も謝罪も不十分なままです。ここには、日本のメディアが抱える構造的な欠陥があります。

マスコミは「統計データ(数万人の安全)」よりも「たった一人の可哀想な少女の映像」を好みます。車椅子に乗る少女や、けいれんする様子を繰り返し放送することで、「ワクチン=危険」という強烈なイメージを視聴者に植え付けました。

科学的に「因果関係なし」と証明されても、映像のインパクトは残り続けます。視聴率や部数のために、公衆衛生という「全体の利益」よりも、感情を揺さぶる「個人の悲劇」を商品化したと言えます。

医療行為に100%の安全はありませんが、メリットがリスクを遥かに上回る場合に実施されます。しかし、マスコミは「副反応の疑い」を「ワクチンによる被害」と断定的に報じ、「少しでもリスクがあるなら打つべきではない」という極端なゼロリスク信仰を煽りました。

一方で、「ワクチンを打たなかったことによって、将来子宮頸がんで子宮を失ったり、命を落としたりする女性の数(不作為の被害)」については、ほとんど報じませんでした。
科学の世界では「圧倒的な多数の科学的合意」と「少数の異論」がある場合、それを同列に扱うことは間違いです。しかし、マスコミは「中立」を装うために、世界の専門機関が認める安全性と、一部の反対派の意見を50:50であるかのように報じました(フォールス・バランス)。これにより、国民は「専門家の間でも意見が割れているのだ」と誤認しました。

なぜマスコミは誤りを認めないのでしょうか。
マスコミには「国や製薬会社という強者 vs 被害者という弱者」という構図を作りたがる癖があります。このストーリーに固執するあまり、科学的ファクトが後から出てきても、自らの作ったストーリー(弱者に寄り添う正義のメディア)を崩すことができません。
ワクチン忌避を煽った当時のキャスターや記者、プロデューサーの多くは、すでに現場を離れています。組織として過去の報道を検証する仕組み(アーカイブの検証番組など)を持つメディアは極めて稀です。
積極的勧奨が再開された際、かつてあれほど騒いだメディアの多くは、再開の事実をさらっと短く報じるにとどめました。大々的に報じれば「じゃあ、あの時の報道は何だったのか?」というブーメランが返ってくるため、「報じないこと(無視)」によって過去を無かったことにしようとしています。

この「空白の9年間」の影響は甚大です。

積極的勧奨が停止されていた世代(1997〜2005年度生まれ付近)は、接種率が激減しました(70%→1%未満)。推計では、この世代において本来防げたはずの子宮頸がんによる死亡者が数千人単位、子宮摘出に至るケースが万単位で増えると予測されています。
この「防げたはずの死」に対して、扇動したマスコミが責任を取ることはありません。
HPVワクチンの騒動は、「科学的リテラシーを欠いたメディアが、正義感という名の元に公衆衛生を破壊した事例」と言えます。
 

私たちにできることは、この教訓を忘れず、「メディアは科学的根拠よりも感情を優先することがある」という前提で情報に接すること、そして正しい情報を草の根で広め続けることしかありません。

現在、キャッチアップ接種(打ち逃した世代への救済措置)が行われていますが、その情報すらも当事者に十分届いていないのが現状です。

 


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