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小児副鼻腔炎 20260108
お子さんの副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)は、大人のものとは性質や治療方針が少し異なります。鼻水が長引くと「ただの風邪かな?」と思いがちですが、適切にケアをしないと中耳炎を併発したり、慢性化したりすることもあります。
小児副鼻腔炎とは?
鼻の周りにある空洞(副鼻腔)の粘膜に炎症が起き、鼻水や膿がたまる病気です。
子どもの副鼻腔は成長段階にあるため、大人に比べて鼻の通り道が狭く、風邪などの炎症ですぐに出口がふさがってしまうのが特徴です。
急性と慢性の違い
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急性副鼻腔炎: 風邪(ウイルス感染)に続いて細菌感染が起きるもの。1か月以内に治る。
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慢性副鼻腔炎: 症状が3か月以上続くもの。アレルギー性鼻炎が関与していることも多いです。
症状
子どもは自分から「顔が痛い」と言わないことが多いため、周囲の観察が重要です。
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長引く鼻水: 黄色や緑色のドロっとした鼻水が1週間以上続く。
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鼻づまり: 口呼吸をしていたり、いびきをかいたりする。
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後鼻漏(こうびろう): 鼻水が喉に流れる。これにより夜間や寝起きに咳が出やすくなります。
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口臭: 膿のニオイや口呼吸による乾燥で、口臭が強くなることがあります。
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不機嫌・集中力の低下: 頭が重い感じや鼻づまりで、落ち着きがなくなることがあります。
診断と検査
耳鼻咽喉科では、主に以下のような診察を行います。
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鼻鏡検査: 鼻の中を直接のぞき、膿の有無や粘膜のはれを確認します。
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レントゲン・CT: 副鼻腔にどのくらい膿がたまっているか確認します(※小さな子どもの場合は行わないこともあります)。
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細菌検査: 鼻水を採取して、原因となっている細菌を特定します。
治療方法
基本は「鼻の中をきれいにする」ことと「薬物療法」の組み合わせです。
鼻の処置
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鼻吸引: 病院で機械を使って膿を吸い出します。これだけで呼吸が楽になり、治りが早まります。
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ネブライザー: 薬剤を霧状にして鼻の奥まで届けます。
薬物療法
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抗生剤: 細菌を殺すために処方されます。最近では、少量の抗生剤を長期間(1〜3か月)服用する「マクロライド療法」が行われることもあります。
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粘液溶解剤: 鼻水をサラサラにして出しやすくします。
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抗アレルギー薬: アレルギー性鼻炎が背景にある場合に使用します。
家庭でできるケア
ご家庭でのケアが回復の鍵を握ります。
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鼻をこまめに吸う: 市販の鼻吸い器(電動がおすすめ)で、こまめに吸ってあげましょう。
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加湿: 部屋を乾燥させないことで、鼻水が固まるのを防ぎます。
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水分補給: 水分をしっかり摂ると、鼻水の粘度が下がります。
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鼻をかむ練習: 片方ずつ、ゆっくりかむ習慣をつけましょう。
注意点
お子さんの場合、副鼻腔炎を放置すると中耳炎(ちゅうじえん)を繰り返しやすくなります。耳と鼻は管(耳管)でつながっているため、鼻の状態が悪いとすぐに耳に影響が出るからです。
「鼻水くらいで病院に行くのは…」と思わず、1週間以上症状が続く場合は耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。
豆知識: 子どもの副鼻腔は、10代後半まで成長を続けます。そのため、手術を検討することは稀で、ほとんどが成長とともに、あるいは適切な通院で改善します。
