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スギ花粉症の人はトマトに注意? 20260303
スギ花粉症の子どもが、生のトマトを食べたときに口の中がピリピリしたり、喉が痒くなったりする現象があります。これは花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)と呼ばれるものです。
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全く別物に見える「スギ花粉」と「トマト」ですが、実はタンパク質の構造が非常に似ている(交差抗原性)ため、体が「スギ花粉が来た!」と勘違いしてトマトに反応してしまいます。
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深掘り研究・論文: 「スギ花粉舌下免疫療法を導入後,トマト摂取により咽頭瘙痒感と呼吸苦をきたした1例」(日本小児アレルギー学会誌, 2020)など。
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解説: 多くの研究で、スギ花粉症患者の約10〜15%程度にトマトへの感作(予備軍)があることが報告されています。特に面白い(そして注意が必要な)のは、最近普及している「舌下免疫療法(SLIT)」との関係です。
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治療によってスギに対する免疫反応が変化する過程で、それまで平気だったトマトに対して一時的に過敏になるケースが報告されています。これは「治療による副作用」というより、免疫系が再構築される過程の複雑さを示す興味深い現象として研究されています。
トマト以外にも、近年の研究でスギ花粉の成分と似た構造を持つタンパク質を含む食品がいくつか明らかになっています。
スギ花粉症と関係がある主な食べ物(トマト以外)
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ジャガイモ:トマトと同じナス科で、交差反応が起きる可能性があります。
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モモ(ピーチ):最新の研究で注目されている「GRP(ジベレリン調節タンパク質)」という共通成分により、強い反応が出る場合があります。
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オレンジ・柑橘類:これもGRPに関連し、スギ・ヒノキ花粉症患者で口腔アレルギー症状(OAS)を引き起こすことが報告されています。
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キウイフルーツ:日本国内の小児PFAS(花粉・食物アレルギー症候群)において、原因食物の上位に挙げられます。
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パイナップル:スギ花粉症との直接的な構造類似性は研究段階ですが、臨床的には併発が多い果物です。
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メロン・スイカ:主にイネ科花粉との関連が強いですが、スギ花粉症患者でも反応することがあります。
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リンゴ:カバノキ科(シラカンバなど)との関連が有名ですが、広義の花粉症関連食物として注意が必要です。
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ザクロ:モモやオレンジ同様、スギ花粉の特定の成分(Cry j 7)と交差反応を示すことが分かってきました。
なぜこれらの食べ物が反応するのか?
これらは「口腔アレルギー症候群(OAS)」と呼ばれ、花粉に含まれるアレルゲンと、果物や野菜に含まれるタンパク質の構造が非常に似ているために起こります。
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GRP(ジベレリン調節タンパク質)関連: スギ花粉の新しいアレルゲン「Cry j 7」と、モモやオレンジ、ザクロに含まれるタンパク質が似ているため、これらに反応するグループが存在します。
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加熱による変化: トマトやジャガイモなどの多くのアレルゲンは熱に弱いため、加熱調理(ケチャップやフライドポテトなど)すれば食べられることが多いのが特徴です。ただし、前述のGRP(モモやオレンジなど)は熱に強いため、加熱しても症状が出ることがあり、注意が必要です。
