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腸内細菌と偏食の関係 20260317
偏食やこだわりが強いお子さんの背景に「腸内細菌」が関与しているという研究は、近年非常に活発に進められています。特に、味覚や食感への過敏さ(感覚過敏)と腸内環境の関連は、小児科の臨床においても非常に重要な視点です。
偏食と腸内細菌の多様性の低下(Kofman et al., 2022)
幼児の偏食行動と腸内細菌叢(マイクロバイオーム)の関係を調べた研究です。 偏食が強いこどもは、そうでないこどもに比べて腸内細菌の多様性(種類の豊富さ)が有意に低いことが示されました。特に、食物繊維の分解を助ける菌が少なく、特定の菌が優位になっている傾向がありました。
「わがまま」ではなく、お腹の菌のバランスが偏っているために、新しい食べ物を受け入れる「脳の柔軟性」が低下している可能性を示唆しています。
食物繊維と「行動の柔軟性」の関連(Berding et al., 2020)
イリノイ大学の研究で、子供の食事内容、腸内細菌、そして認知機能(実行機能)の関係を調査しました。
食物繊維を多く摂っている子供ほど、腸内の特定の細菌(Bacteroidesなど)が豊富で、「状況の変化に合わせて行動を切り替える能力(認知的柔軟性)」が高いことが分かりました。
こだわりが強く、切り替えが苦手なお子さんに対して、食事(腸内環境)からのアプローチが行動面に良い影響を与える可能性を裏付けています。
近年の医学研究では、偏食が強いお子さんは、そうでないお子さんに比べて、腸内細菌の種類が少ない(多様性が低い)傾向があることが分かってきました。
実はお腹の菌たちは、脳と「迷走神経」という大きなパイプラインでつながっています。腸内環境が偏ると、脳の「新しいものを受け入れる力」や「気持ちを切り替える力」に影響を与えることがあるのです。つまり、お子さんのこだわりや偏食は、「今はまだ、お腹の環境が新しい刺激を受け入れる準備ができていないよ」という、体からのサインかもしれません。
